めまい、耳鳴り、難聴

めまい、耳鳴り、難聴の相関関係

めまい、耳鳴り、難聴はお互い、深く関係しています。めまいと難聴は紙一重、内耳にある三半器官が異常になればめまいに、内耳の蝸牛が異常になれば難聴になります。その上、様々な他の脳神経が関与する構造、つまり自律神経、小脳、大脳なども関係してきます。

だからまず、めまい、耳鳴り、難聴の一番基本である、めまい、について記します。

めまいのしくみ

突然、世界ぐグルグル回りだしたり、立ったりするとふらついたり、誰しも一度は経験するもの、でもふつうはすぐに回復するもの、何度でも起こったり、あまりに酷かったりすると、何か原因が在るといわれています。

人のバランス感覚は以下の3つの情報によって保たれています。どれか1つでも狂うとめまいがしてきますが、2つ以上絡み合っていることも多々あるそうです。

1,目で見る、視覚。

2,耳で感じる前庭覚=前庭神経の感覚(耳の支配神経)

3,足の裏で感じる体性覚

めまいの分類

以前は耳鼻咽喉科へ行くと、良性発作性頭位めまい症やメニエル病位しか分類されていませんでしたが、近年は以下のように、さらに細分化されているようです。

1,良性発作性頭位めまい症 2,前庭神経炎 3,前庭性片頭痛(若いころは片頭痛の方が年齢を重ねるとめまいになる)4、メニエル病 5、持続性知覚性姿勢誘発めまい(精神科疾患と耳鼻科疾患の絡み合った複雑な原因のめまい)6,恐怖性姿勢めまい症(パニック発作などの心がメインのめまい)

東海大学医学部耳鼻咽喉科教授 五島先生による分類

耳鳴り、難聴

耳鳴りも難聴も蝸牛神経が関係するので、両者は密接に関係しています。耳鳴りの方の9割の方に難聴があるそうです。聞こえにくいと脳は音を拾う感度を上げるので、耳鳴りになります。

マイクの感度が悪いとき、アンプのボリュウームを上げると、ブーンと音がしますね、あんなイメージです。そして軽い耳鳴りはステレオのハウリング音のようなもの、誰にでも多少はあります。

気にするか気にしないか、の差、という説もあります。「夜寝ると周りが静かで、余計に耳鳴りが気になる」よくあることです。

また、難聴は聴神経自体の障害の感音性難聴と、鼓膜などの音を伝える器官の障害の伝音性難聴に分けられ、両者の混合性も多いそうです。

めまい、耳鳴り、難聴と鍼灸

鍼灸、東洋医学では耳は腎経絡が支配するので、腎経絡の鍼灸ツボを使います。またメニエルや内耳の腫れは粘膜異常なので、脾経絡のツボを使います。どちらが適するかは脈診により決定します。

実際の施術では陰経絡の腎経絡や脾経絡の表裏関係にある陽経絡、つまり耳周辺を巡る、三焦経絡や小腸経絡を多用します。また側面を支配する胆経絡も使います。

めまい、耳鳴り、難聴と整体

体の歪が大きい方は体が傾いているので首が傾いています。首が傾くと耳周囲の神経、筋肉が働きません。そして、多くの方は首だけでなく骨盤から傾いているので、下から治していかねばなりません。土台が傾くと、ちょうどイタリアのピサの斜塔のように、

上部である首の傾きはより大きくなります。ですから整体で骨盤や股関節の歪を治すと、首の骨のズレ、主に頸椎1番が正され、耳へ通じる神経の働きが良くなります。

めまい、耳鳴り、難聴の施術効果

治すのはめまい→耳鳴り→難聴、の順番に難しくなっていきます。めまいには効果的ですが、感音性難聴は、施術効果が上がらないこともあります。(聴神経は一度劣化すると回復が難しいので)

もし、あなたが耳鼻科で、感音性難聴または年齢からくる難聴、と診断された場合は、横浜の耳鼻科医が書かれた以下の本のセルフケアを、こまめにやってみるのもアリ、だと思います。これ、とても良い本です。

難聴と耳鳴りのリセット法  アスコム社 木村至信 著

めまい、耳鳴り、難聴と鍼灸ツボ、セルフケア

後頭部にある風池、完骨、翳風などのツボを使います。また、耳の周囲にも多数ツボがあり、手にも三焦経絡、小腸経絡のツボが有効です。

ご自身でするセルフケアとして耳たぶを上、横、下に引っ張る方法があります。具体的なやり方は上記の耳鼻咽喉科医、木村先生の本を参考にして下さい。

何よりも大切なことは耳周囲のコリを作らないこと、そのためには普段の姿勢が一番大事です。

1 猫背に気を付ける(頭を前に出さずに背骨の真下に持ってくる)

2長時間連続して座らない(パソコン、スマホは休憩しながら使うこと)などにご留意ください。

めまい、耳鳴り、難聴の施術例

① 難聴 肩こり ( M.T様 53才 女性、パート)

辛いところー10年前から左耳の聞こえが悪いが、1か月前から急に悪化。

耳鼻科へ行くと低音域の聴力低下を指摘され、漢方薬などで治療中。突発性難聴の可能性があるので大病院にて精査を勧められている。

当院の施術-耳をめぐる経絡と首、肩に鍼灸治療。3回治療したが、直後はよいがすぐぶり返す。本人の自覚はないが首が大きく左に傾いているので、4回目から整体に治療を変え、体の傾きを矯正。その後4回で症状なくなり、耳の施術は終了。

あと数回精神ストレスへの鍼灸治療を終え、体調良くなり治癒。結局大病院の耳鼻科へは行っていない。

② めまい、五十肩(Y.K様 62才、主婦)

辛いところ―1週間前からめまい、右肩が上がらない

初期だったので耳をめぐる経絡の調整と局所への鍼灸5回でめまいは治癒。この方も骨盤のゆがみが強く、五十肩になっておられたので、その後数回施術。

③耳鳴り、更年期障害、冷え性(Y.T様 56才、女性、パート)

主訴、耳鳴り、両耳が頭の中で鳴っている、夜、静かだと気になるが、仕事中は忘れる。1か月前に自然に発症。更年期障害で婦人科にて漢方薬の投薬中。その他右半身が冷える。昔はひどい肩こりだったが、ジムに行きだしてから感じなくなった。

3回の鍼灸治療で冷えや更年期障害の症状は改善。耳鳴りは6回めでほぼ消失。体調がすこぶるよくなったので、2週間に1回くらいメンテナンス治療受けたい、とのこと。