お灸-最古、最高のセルフケア
お灸とセルフケア
世の中、健康ブームで様々なセルフケアが存在します。私も元々、虚弱でしたが、この年になってまだ現役で仕事をできているのは、セルフケア、特にお灸、温灸のおかげだと思います。ちなみに、昔は私よりズーっと元気だった同級生は、ほとんど引退しています。
今まで、仕事柄色々なセルフケアをしてきましたが、その中で私が特に良いと思い、今も毎日していているのはお灸です。簡単にでき、すごい効果のセルフケア、お灸のメリットをお知らせしたいと思います。
お灸は5300年前からのセルフケア?
1991年、イタリアとオーストリアの国境の氷河で氷漬けになったミイラが発見されました。5300年前のその体には、入れ墨らしき謎のスジがあり、それがどうも当時のお灸のような跡、だとわかってきました。遺体の先祖は腰痛、足の痛み、胃腸病に悩まされていたらしく、そのケアだったと考えられるそうです。
東洋医学は中国発祥で3000年の歴史、と言われていますが、その遥か前、しかもヨーロッパでお灸らしきケアが行われていた、とは全くの驚きです。
医療も何も無い時代、石器時代より、とても長きにわたって、お灸は人々の重要なセルフケア、だったことが分かります。
お灸と免疫
松尾芭蕉の「奥の細道」には足三里にお灸をすえることが旅には必須、だと書かれています。また、江戸時代の慶安の御触書には、「農民は家族全員、お灸をして健康維持に努めよ(しっかり年貢を納めよ)」との記述があります。
現代では九州帝国大学の原志免太郎医師が動物実験でお灸をすると免疫が活性化されることを証明し、ご自身も足三里のお灸のセルフケアで109歳の天寿を全うされました。
現代社会とお灸
現在、アフリカや南米などの最貧国では食料に事欠き、医師はおろか、薬や医療設備が不足しています。そんな国でお灸は簡単、安価、効果的な治療として実践されています。道具代がほとんどかからず、短時間で多くの人を施術でき、とてもコストパフォーマンスが良いのです。
それは痛みの疾患だけでなく、免疫疾患を含む、様々な内科疾患に効果を上げています。人の持っている自然治癒力を賦活させるお灸は、先進国でももっと取り入られるべきと思います。抗生物質のように耐性菌におびえることもありません。
お灸の種類、やり方
お灸には直接灸と温灸、2種類あります。昔からある皮膚に直接すえる直接灸、いわゆる「お灸をすえる」というときに使われる熱い灸と、皮膚と艾との間に空間がある温灸、間接灸です。直接灸は短時間で終わるので1か所につき3‐5回、温灸は3分くらいかかるので1-2回据えます。
直接灸は一番効果が高いのですが、熱いし跡が残ることがあるので、どうしても勧めにくい。ご家庭では温灸をお勧めしています。ちなみに治療院内でも、どうしても直接灸でなければ効果が出ない時は、最後まで燃やさず、つまんで火を消す8分灸を使います。
温灸は千年灸.カマヤミニなど多くのブランドがあり、いずれも薬局やドラッグストアで買えます。
よく使われるツボ①、足のツボ
本来は脈を診たり、症状を聞いたりして決めるのですが、一般的にどんな場合でも効果がみられるツボをお伝えします。
1、足三里-元気を賦活し免疫を正常化するツボ、松尾芭蕉や原医師がすえた、代表的な 名ツボ。
2、三陰交ーすべての陰経絡が交わるので下半身の病、腰痛や膝痛に良い。特に更年期以降の女性には必須のツボ。
3,照海ー先天的元気を養う腎経絡の代表的なツボ。虚弱体質、ホルモンの乱れ足の冷えなど。
よく使われるツボ②、手のツボ
1,合谷-顔や頭の病、痛み全般に使われる名ツボ。痛みを抑えるので昔、合谷に鍼しながら鍼麻酔が行われた。
2,内関ー心と繋がるツボなので、不安やドキドキに良い。ストレスの多い現代には特に有用なツボ。
3,尺沢ー呼吸器と繋がるので風邪や咳に良い。肩こりにも効果的。
艾の煙が気になる方には、煙のでないスモークレスも販売されています。でも艾が燃えることが大切なので、燃えるタイプをキッチンの換気扇のしたでやってみてください。
安価、手軽なのでダメもとで体験してみる価値はあります。